Sho Yamazaki

在庫・仕入

グラスワインのロスを減らす管理方法:小さなワインバーの実践例

開けすぎ、注ぎすぎ、残量の把握漏れを分けて見直す。開栓判断・品質確認・提供量の統一を作例で紹介し、スマホで縦に入力できるボトル管理表を無料配布します。販売量・残量の差異・廃棄の仕入相当額を自動計算できます。

グラスワインのロスを減らす管理方法:小さなワインバーの実践例

閉店後に少しずつ残ったワインを見て、「今日も開けすぎたかもしれない」と感じる。一方、種類を減らせばお客様の希望に応えられない気もする。グラスワインのロスは、保存器具だけでは解決できません。何を開けるか、どれだけ注ぐか、残りをどう確かめるかを一つの流れにすると、見直す場所が分かります。この記事では、開栓後のボトルを中心に、少人数で続けられる管理方法を整理します。席数・容量・杯数・金額を使った例はすべて説明用の架空の条件で、Tsuki-akariの営業実績や、全店共通の推奨値ではありません。

スマホで入力できるボトル管理表を無料配布

無料テンプレート

グラスワインのボトル管理表

1本ごとに、日付・販売杯数・品質確認・無償提供・こぼれ・廃棄・実際の終了残量を記録します。項目名と入力欄の2列で、横へ長い一覧を埋めずに、下へ進んで入力できます。

Googleスプレッドシートをコピー

Googleアカウントへログインし、「コピーを作成」を押すと、自分のGoogleドライブで使えます。配布用の原本は閲覧専用です。

Excel形式でダウンロード

共通:入力用+架空の記入例の2シート / 1本につき7記録枠 / マクロなし / v1.0(2026年10月21日)
Excel版は.xlsx形式です。

スマホでの使い方を見る →

このサイトへの会員登録・メール登録は不要です。Google版はコピーして使い、ファイルで保存したい場合はExcel版を選べます。黄色い欄が入力欄、灰色の欄が自動計算です。販売量・計算上の残量・実残量との差異・廃棄分の仕入相当額を計算し、次の記録には実際の終了残量を引き継ぎます。

入力用シートの容量は750mLを初期値とし、杯数・使用量は0を入れています。自店のボトル容量に変更し、その日に使わなかった数量が0でよいか確認してください。7枠は記録する回数で、保存できる日数や提供期限を示すものではありません。

最初の準備と、スマホでの入力手順

  1. Google版をコピーするか、Excel版を保存する

    「Googleスプレッドシートをコピー」を開き、自分のGoogleアカウントへログインして「コピーを作成」を押します。自分のGoogleドライブにできたコピーを開いて入力してください。原本への編集権限のリクエストは不要です。スマホでは、コピー後のファイルをGoogle スプレッドシートアプリで開くと入力しやすくなります。

    Excel版を使う場合は.xlsxファイルを保存し、Excelなどの表計算アプリで開きます。プレビューだけが表示される場合は、編集できるアプリへ切り替えてください。

  2. 「ボトル入力」で1本の基本情報を入れる

    ボトル番号、銘柄・年号、開栓日、容量、通常1杯の量を入力します。少量サイズを販売する場合は、その量も設定します。開栓時刻・仕入単価は任意です。すでに開栓済みのボトルから始める時は「途中開始残量」へ、記録を始める時点の実残量を入れてください。空欄なら最初の開始残量は1本の容量になります。

  3. 「記録1」の黄色い欄を埋める

    日付、状態確認の結果、通常・少量の販売杯数、販売以外に使った量、実際の終了残量を入力します。スマホでは黄色いセルを選んで編集し、入力を確定して下の欄へ進みます。杯数・mL・円は単位を付けず半角の整数で入力し、使わなかった数量は0、未確認の数量は空欄にします。灰色の式は上書きしません。

  4. 差異と入力確認を見て、保存する

    「入力確認」が日付・量・終了残量などの不足を知らせたら、該当する欄を確かめます。差異は「計算上の残量−実際の終了残量」で、プラスは実物が少ない、マイナスは多い状態です。数量一致でも品質が良いという意味ではありません。状態は人が確認して「提供可」「提供しない」「要確認」から選び、営業中に変わった場合も更新してください。

  5. 次の記録へ進み、別のボトルは新しいシートへ

    同じボトルは記録2以降へ進みます。直前の記録の日付と終了残量が入ると、次の開始残量が自動で入ります。枠は上から順に使い、飛ばさないでください。別のボトルには、未記入の「ボトル入力」を複製するか、テンプレートを新しくコピー・ダウンロードし、ボトル番号を付けて保存します。入力済みの基本情報を別のボトルへ書き換えると、過去の計算も変わるため、使い回しません。

まず1本を入力し、いったん閉じて開き直した時に、入力内容が保存され、計算結果が表示されることを確かめてください。Google版では保存状態も確認します。7枠を使い切っても同じボトルが残る場合は、未記入のテンプレートを新しく使い、「途中開始残量」に直前の実残量を入れます。前の記録は消さず、ボトル番号と続きであることをファイル名に残します。記入後のコピーは、店舗で必要な人だけと共有してください。

まず、売れなかった量を理由別に分ける

「1本から予定の杯数を取れなかった」だけでは、原因を特定できません。品質確認のために使った量も、注ぎすぎも、状態が変わって廃棄した量も、同じロス欄にまとめないようにします。

販売以外に減った量を、次の改善につながる形で記録する
理由見直すこと
品質変化による廃棄開栓した種類・本数、注文の見込み、保存の手順を確認する。
こぼれ・注ぎすぎグラスの基準量、注ぎ方、忙しい時の作業を確認する。
品質確認の試飲必要な確認として別に記録する。廃棄を減らすために確認自体を省かない。
説明できない差販売杯数の入力漏れ、サイズ違い、残量の見積りを確認する。

無料で提供した分は販売と区別し、飲み比べなど販売する少量サイズは、通常サイズと分けて杯数・量を残します。減った量をすべて「品質劣化」と扱うと、保存方法を変えても原因が残ってしまいます。

追加で開ける前に、同じ役割の残量と注文の見込みを見る

グラスリストの種類数と、同時に開けておく本数は別に考えます。すべてを開店時に開けず、注文が入ってから開けられる銘柄も用意します。まずは味わい・価格帯・料理との合わせ方で役割を整理し、似たワインを重ねて開けていないか確認しましょう。

  1. 提供できる状態の残量を先に確認する

    開栓日だけで決めず、状態を確認したうえで、あと何杯を基準量で提供できるかを見ます。銘柄と年号が同じでも、開けたボトルごとに区別します。

  2. 同じ曜日の販売記録と、当日の条件を合わせて考える

    普段の杯数に加え、予約の内容、営業時間、休業日前かどうかを確認します。予約人数をそのままグラスの注文数には置き換えません。

  3. 新しく開ける理由を一言で説明できるか確かめる

    「今あるものでは希望された味わいに応えられない」「同じ役割の残りでは注文をまかなえない」など、必要性から判断します。残量があるからといって、お客様の希望と合わないワインを優先して勧める必要はありません。

10席のワインバーでの架空の判断例

普段の同じ曜日には、軽い赤の注文が2杯前後。営業前に状態を確認した軽い赤が180mL残っていて、基準量は90mLという条件なら、まず2杯分を用意できます。新しい軽い赤をもう1本、開店準備だけを理由に開けるのは待ち、別の味わいの希望や、その後の注文を見て判断します。

「2杯出る」と確定したわけではありません。当日の注文と品質確認を優先し、残った分を必ず売り切る計画にはしません。

保存は「閉栓・低温・記録」をそろえ、提供前に状態を確認する

WSETは、開栓後のワインでは酸素への接触を抑えること、立てて保管すること、再び栓をして冷蔵することを基本として紹介しています。赤も含め、保管する時の温度と、お客様へ提供する時の温度は分けて考えます。WSET:開栓後の保存方法(2026年10月21日確認)

営業中も注いだ後は閉栓し、厨房の熱や光を避け、決めた保管場所へ戻します。発泡性ワインには対応する専用の栓や器具を使い、スティルワイン用の真空ポンプをそのまま流用しないようにします。保存器具を使う場合は、対応するワイン・栓の種類、操作、保管条件をメーカーの案内で確認してください。

「開栓後は何日でもつ」と全銘柄共通の販売期限を決めることはできません。ワインの性質、開栓後の扱い、残量、器具によって条件が違います。開栓時の状態を把握し、次の営業前にも香り・味わい・必要に応じて発泡の状態を確かめ、違和感があれば提供前に再確認します。日付や器具の使用だけで、品質を保証しないでください。

自店の提供基準を満たさないものは、ロスを減らすために出し続けず、提供対象から外して理由を記録します。保存器具は状態が変わったワインを元に戻す道具として扱いません。

提供量を決め、いつものグラスで注ぎ方を確かめる

銘柄や提供サイズごとに基準量を決め、メニューの量・価格と対応させます。営業前に水を計量して普段のグラスへ入れ、見た目の量を確認すると、同じグラスでの注ぎ方をそろえる練習になります。グラスを変えた時や、新しいスタッフが担当する時も確認してください。

750mLのボトルを90mLで提供する作例

仮に品質確認へ合計30mLを使う計画なら、計算上の販売用は720mLで、90mL×8杯です。毎回100mLを注ぐと、同じ720mLから取れるのは7杯と残り20mLになります。

これは注ぎすぎの影響を見るための計算です。実際の提供可能な杯数を保証するものではなく、澱、品質確認、こぼれ、販売前の状態確認で変わります。瓶の公称容量だけを根拠に、必ず8杯売れると原価を見積もらないようにします。

少量サイズを設ける場合も、量と価格を明示し、注文時に確認します。残りが基準量に届かないからといって、通常の1杯として黙って少なく提供しないでください。別のボトルの残りを継ぎ足して、銘柄や開栓時点の分からない状態にしないことも、管理を続けるための基本です。

ボトルごとに、開始残量・販売・試飲・廃棄・終了残量をつなげる

管理表は紙でも、使い慣れた表計算でも構いません。ボトルへ短い管理番号を付け、銘柄・ヴィンテージ・開栓日時・保管方法・基準量・直近の状態確認と、日々の数量を一緒に確認できるようにします。

数量を照合する式

開始残量 + 新しく開けた容量 −(販売量 + 品質確認 + 無償提供 + こぼれ + 廃棄 + 終了残量)= 差異

販売量は「杯数×基準量」で集計します。大小のグラスや飲み比べがある場合はサイズ別に計算します。式の単位はすべてmLでそろえます。

管理番号A01・750mLの同じボトルを追う作例(数量はすべてmL)
項目1日目2日目
開始残量0360
新しく開けた容量7500
販売360(90×4杯)180(90×2杯)
品質確認2010
無償提供00
こぼれ100
廃棄0170
終了残量3600
差異00

この作例では、2日目の販売後に自店の提供基準を下回ったことを確認し、残った170mLを廃棄したと仮定しています。「2日目には廃棄すべき」という意味ではありません。品質確認の30mL、こぼれの10mL、品質変化による廃棄の170mLを分けると、見直す対象が分かります。

1日目の終了残量を、2日目の開始残量へ引き継ぎます。未開栓の在庫表では開栓時に1本を減らし、グラスが売れるたびに同じ1本を再び減らさないようにしてください。

残量を目視で見積もった場合は「概算」と記録し、差が続いたら測り方や販売記録を確認します。記録の数字を実物へ合わせるためだけに、差異を廃棄へ振り替えないことが大切です。

記入例で、入力欄と自動計算を確認する

記入例シートの基本情報。架空の管理番号A01、赤ワインA、容量750mL、通常90mL・少量45mL、仕入単価3000円を黄色い入力欄に記載。
「記入例」シートの基本情報。黄色い欄へ、そのボトルの条件を設定します。すべて架空の数値です。

テンプレートでは、最初の「開始残量」に容量750mLを含めるため、上の表の「開始0+新しく開けた750」と同じ計算になります。新しく開けた750mLをさらに足す欄はありません。記入例の2回目は360mLから始まり、90mL×2杯、品質確認10mL、廃棄170mL、終了0mLで差異0です。

仕入単価3,000円・容量750mLの架空条件では、廃棄170mLの仕入相当額は680円です。単価が空欄のボトルは金額を計算せず、数量だけ記録できます。原価の目安であり、販売額・利益・会計処理の金額とは区別してください。通常と少量の2サイズを超える場合は、サイズの異なる杯数を混ぜず、別の記録で量を整理してから表を調整します。

一人営業なら、営業前・提供時・閉店後に作業を分ける

  1. 営業前:使えるボトルと、今日の開栓候補を決める

    開栓済みの状態・残量を確認し、メニューの案内と合うか点検します。残量が少ない銘柄は、次の1杯を出す前に追加開栓の要否を確かめます。閉店後だけ確認する運用にしないようにします。

  2. 提供時:販売の記録に、量の違いを残す

    通常サイズ、少量、飲み比べを区別します。品質確認の試飲、無償提供、こぼれは、手元の紙へ短い印や数字を残す方法でも構いません。ボトル番号が分かれば、後で同じ管理表へ移せます。

  3. 閉店後:残量と状態を記し、翌日の判断を一言残す

    閉栓と保管を確認して、終了残量・廃棄理由を記録します。「軽い赤が残り360mL。次の営業前に状態を確認し、同じ役割の追加開栓を判断」のように、次に行う作業が分かる一文を残します。

日報には全ボトルの数字を重複して書くより、「廃棄が出た理由」「注ぎ方の確認が必要な銘柄」「次の営業で開けるか迷うもの」を短く残します。数量の正本をボトル管理表に決めると、二重入力を減らせます。小さな飲食店の日報テンプレートの紹介

週の振り返りでは、廃棄した量より「同じ理由の繰り返し」を見る

決めた日に銘柄別の廃棄・こぼれ・差異を確認し、理由に合う変更を一つ選びます。売れ残りなら、似た役割の同時開栓、注文の少ない日のラインナップ、休業日前の開栓を見直します。差異が多いなら、保存器具を買う前に提供サイズと記録を確かめます。

仕入額に換算する、架空の計算

750mL・仕入単価3,000円という条件で、品質変化による廃棄が120mLなら、仕入額に換算した目安は3,000円×120÷750=480円です。

これは廃棄の規模を見るための簡易計算です。販売価格で計算した金額や利益、会計上の処理とは区別してください。販売杯数が違う週を、廃棄額だけで良し悪しの比較に使わないようにします。

変更後は、廃棄だけでなく、希望されたワインを用意できなかった場面や、提案のしやすさも確認します。ロスを減らすために種類を絞りすぎ、必要な選択肢までなくしていないかを見るためです。未開栓の仕入れと補充目標は、ボトルワインの在庫管理の記事で別に整理できます。

選ばれた味わいと、応えられなかった希望も残す

杯数の記録に加えて、「今日は重い赤より軽い赤の希望があった」「食後に少量で楽しめる選択肢を聞かれた」など、確認できた要望を短く残すと、次のグラス構成を考える材料になります。好みを決めつけたり、希望があっただけで次回の注文数が確定したと考えたりしないようにします。

顧客ごとの回答や店舗メモを整理したい場合は、TSUGIVOも選択肢です。必要な範囲と利用目的を決め、お客様自身が入力した回答や、接客で確認した内容を次の提案の手がかりにできます。TSUGIVOは、ワインの残量計算・品質判定・在庫管理を行うツールではありません。今回のボトル管理表とは役割を分け、顧客情報の整理も課題になった場合に導入ページを確認してください。

次の営業から始めるチェックリスト

  • 同じ役割のワインを追加で開ける前に、状態と残量を確認する
  • 開栓日時・ボトル番号・保管方法を残す
  • 営業前と必要な提供前に状態を確認し、日数だけで品質を判断しない
  • グラスの基準量とメニューの量・価格を対応させる
  • 販売・品質確認・こぼれ・廃棄を分ける
  • 終了残量を次の営業の開始残量へ引き継ぐ
  • 差異が続いたら、記録と測り方を確認する
  • 週の振り返りで、開栓・提供・保存のうち一つを見直す

テンプレートの利用・配布について

自店で無料で使用でき、項目の調整やスタッフへの共有も可能です。未記入のテンプレートを紹介・再配布する際は、この記事へのリンクを添えてください。記入済みの店舗情報や取引情報を公開せず、架空の記入例を実店舗の実績として紹介しないでください。表計算アプリの利用条件や費用は、ご利用のアプリでご確認ください。

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Googleアカウントでログインし、自分のGoogleドライブへコピーして使えます。

Excel形式でダウンロード

次にできること

まず1銘柄を、開栓から飲み切り・廃棄まで追ってみる

次の営業では、よく提供する1銘柄にボトル番号を付け、開栓日時・基準量・販売杯数・販売以外に使った量・終了残量を記録してください。最初から全銘柄を細かく管理するのではなく、差異と廃棄の理由が分かる形を試し、続けられる手順をほかの銘柄へ広げていきます。

出典・確認した情報

文例・図解は説明用の作例です。制度・機能・受付状況は変更される場合があります。利用前にリンク先の最新情報をご確認ください。